義理の妹と池の主

実はブログを書かない間に、東京に引っ越した。現在僕は東京都民だ。

僕の日常は面白いことがよく起きる。東京都に来てからもそれは例外ではなく、面白いことがちらほらと起きている。まずは近所の池で知らないおじいさんと釣りをしたことだ。今僕は池のほとりに住んでいる。公園の真ん中にデカデカと池があって、その周りがお散歩コースになっている。そこでビーチパラソルを広げて池と向き合っているおじいさんと出会って、釣りに誘われたというわけだ。僕は何を釣っているのか気になっておじいさんに声をかけた。

<AM6:00>

僕:「何が釣れるんですか?」

ジジイ:「あなた見ない顔だねえ」

ジジイは僕の質問をガン無視して、何やら強者っぽいセリフを返してきた。というわけで僕も仕掛けていく。

僕:「おじいさんはこの辺りの主なんですか?」

ジジイ:「・・・」

そういう感じで仲良くなって、翌朝僕たちは釣りをした。ブルーギルとかそういうカタカナの外来種のビービー(幼児語で魚)が釣れる。池には大体毎朝20人くらいのおじいさんがいて毎朝池と向き合っている。外周1.4キロほどの池なので、なかなか大きい。

僕に義理の妹ができた。そして弟と3人で飲み会に行った。義理だが妹は妹だ。普通妹というのは段階的にできるもので、多くの場合心の準備をする期間がある。かくいう僕の妹は、僕が生まれた何年か後に同じ生産者の手によってこの世に生み出された。あなたに妹ができるのよ、なんて言葉を生産者からかけられたに違いない。それによって幼い僕は自分なりに事実を受け止めて、お兄さんになる覚悟を決めていったのだと思う。しかし義理の妹というのは急にやってくる。ほんとにすごい速度で妹になる。幼かったあの頃のように誰かが声をかけてくれるということはなかった。みんな心の準備がされないまま、義兄になる。

そういえば僕は「家」という概念を堅苦しいものに捉えていた。しかしながら実際に「ファミリーが増える」という「家」を感じる状況に立ち会うと、全く堅苦しくないことに気づいた。シンプルに表現するならば「わーいファミリーが増えた!なんか嬉しい〜」的な感じだ。そのようなカジュアルさがそこにはあった。当日の話をしなければいけない。弟のパートナー(僕の義理の妹)はおそらくかなり知的な人で、僕のような人間からするとまずは何を話していいものかと少し緊張する。しかしその緊張感が一つのアイテムによって無くなった。義理の妹は肩から赤いパンツみたいなカバンをかけていたのだ。この赤いパンツが僕の心をアイスブレイクし、終始楽しい時間にしてくれた。

「パンツみたいだね」と指摘した後に、少し僕は失礼かなと思って「良い意味で」と付け足した。どうか失礼なやつだと思わないでほしい。あの時、あの状況で、あのいちごのカバンは、パンツみたいである必要があったと思う。あれは確かに赤いかばんだったけど、同時にパンツの概念も持っていた。パンツは衣服と肌の間に位置して、肌と衣服の擦れなどのストレスを解消してくれる存在だ。要するにその赤いパンツが、突然義理の妹になった弟のパートナーと、義兄になった僕との間のノーパン状態を解消してくれるということが言いたかった。

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