コーヒー屋さんとゆっくり閉まる扉

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そういえば最近コーヒー屋さんというカフェに行った。お洒落な外装に惹かれて入ったら、バァバばかりでとても落ち着いた空間が広がっていた。まるで平日午前中の診療所みたい。カフェ内はヨモギ餅の良い香りが立ち込めていた。バァバのカフェとして完璧すぎる。

注文をしようと店員さんを呼ぶと、やっぱり大バァバだった。なんだかそのカフェ自体が僕の生命力を奪う装置みたいにも思えた。どんどんバァバが若返っているような気もする。そうこう考えているうちにコーヒーとシフォンケーキが運ばれてきた。しっかりおしゃれでしっとり美味しい。バァバは美味いお菓子を作るもんだ。

隣に老夫婦がやってきた。奥様はお抹茶、旦那さんは熱燗を注文した。熱燗?!昼間からジィジジョークを飛ばしてやがるぜと思っていたら、熱燗はきちんとした裏ドリンクメニューだった。バァバがバァバにお抹茶を、ジイにはコーヒーカップに入った熱燗を持ってきた。はぁ、なんだか素敵だなあ。熱燗をコーヒーカップに入れたっていいじゃないか。

ここまではちょっと前の話で、これから今日の話を書く。

僕はさっきオシッコに行ったときに、多目的トイレに駆け込んで行くスーツのおじさんを見た。大人の全力疾走って社会でなかなか見ることは出来ないから素敵だった。映画みたい。人間がつまらなくなっていくのはもしかすると、走らなくなったからかもしれない。思えば子供の頃の移動は基本的にダッシュだった。僕はいまジョギングか、爪先立ち歩きだ。ふくらはぎを鍛えている。

疾走するおじさんが入ってすぐに扉がゆっくりと開き始めた。ああ、鍵を閉めてないんだなあと思った。僕は紳士だからそのトイレまで歩いて行って多目的トイレのドアをそっと閉めてやった。「ありがとう。」とすっごく小さな声で言われた。僕は満足してクルッと回って多目的トイレを後にした。ちょっと歩いて振り返ると、再びゆっくりと扉が開いていた。どういたしましてなんて思いながら、僕はそのまま現場を後にした。

 

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