うる星輩

ペルセウス座流星群がきているらしい。

暗いところを考えて、うちの田んぼに歩いて行くことにした。田んぼの畦道に寝っ転がると、視界の全てが夜空になった。Tシャツと短パンで来て後悔していたことを忘れるくらいに、それは、まるで夢の景色のように、ただひたすらに美しい景色だった。というのは言い過ぎだけど、アホみたいにキレイーって呟くくらいにはキレイだった。

寝転がっていると、大きめの流れ星が一つまた一つと空をぶった切ってゆく。その度に僕は「うわっ!」とか「おお!!」だとか「ぬぁー」だとかの言葉を漏らしていた。キレイなものに声をあげるのは素敵だなと思っていると、突如としてライトで照らされた。

「うるさい!!」

知らないおじさんが僕に向かって怒鳴ってくる。

「うるさい!!流星群ですよ!」

すごく声が大きかったものだから僕は反射的に返してしまった。

「知らんわ!!」

知らんと言われた。つまり、知らなかったということだろう。追加情報を求めているに違いなかった。

「北東方向ペルセウス座流星群です、22時頃から極大!!明日も見れますよ!!」

おじさんその情報を完全に無視。そして畦道の間に横たわる僕を、死ぬほど明るいライトで照らし続けてくる。軍用ライトのようだった。4分ほど照らされたところで、僕はイライラした。iphoneの出せる一番強い光で遠くのおっさんを照らそうとした。それだけではあの強い光に勝てないと思い、手を振って激しく光を揺らした。

気づけば僕は美しい星の下、おっさんに向かってライトを振っていた。星の瞬き、流星群、そして畦道に横たわってのライト揺らし。この状況、一体感、まさにライブ会場。ポルノグラフィティのライブで使ったシンクロライト以降、僕は誰かに向かってライトを振ったことはなかった。もしかすると、僕がライトを振ったのではなく、おっさんにライトを振らされたのかもしれない。そしてどことなく屈辱を感じた。

途端にとてつもない敗北を感じて僕はライトを切った。おっさんもライトを消して帰って行ってしまった。そしてまた星を見上げた。僕は何か言われたら素直に謝ることができる人間になりたいと思ったし、これからも星を見て綺麗だと思える人間でありたいと思った。

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