ブロッコリーとスタンドアップ

「ブロッコリー」は名前も良いし味も良い。それに僕の好きな樹木に似ている。まさに食べれる木だ。切って分解すると小さな木がたくさん手に入る。とっても楽しい。そんな僕の大好きなブロッコリーが1袋198円で売っていた。袋が横においてあるので、詰め放題だ。本気を出せば5つ入りそうな気がするが、遠慮して4つにとどめておく。これが大人ってもんだ。一個あたり49.5円のブロッコリーなんて最高すぎる。暖冬さまさまだ。僕は半額の豆腐とひき肉とブロッコリーとをカゴに詰めてレジに向かう。

「今日はブロッコリーが激安の日なんですね」と言うとわかりやすく困惑する店員さん。店員さんはブロッコリーコーナーに走って確認に行った。「店長ーー!これ一袋198円になってますけど、あってます??」「ナニーーー???違う一個一個!!」店内がブロッコリーを中心に回りはじめた。表示をすぐに印刷し直しに行く店長を尻目に、何食わぬ顔で戻って僕のブロッコリーをレジに通していく店員さん。おいおい198円×4だ。僕は49.5円のブロッコリーだから買ったのだ。198円のブロッコリーなんていらない。全然暖冬関係ない値段じゃないか、むしろ高いよ。「あ、それならブロッコリーは戻してきます」僕は恥を忍んでブロッコリーを戻しに行った。以前の僕なら買っているが、筋トレをして余裕のある僕にとってこんな恥は恥に入らない。そして僕は悲しそうに家に戻った。ここ一年で一番悲しかった。

前置きはここまでにして本編に突入する。僕は人生でやりたいことリストを作成している。この度はそのリストの項目の一つを成し遂げた。本当に記念すべき日だ。今回成し遂げた項目が「小学生のテストの採点」だ。僕は生活の中で、あっ今先生になりたいなと思う時がしょっちゅうある。仕事中にプリウスの中を3年2組の教室と仮定し、様々な授業を行うくらいには欲求が溜まっている。そこで小学校教諭の知人に依頼し、この度小学生のテスト採点が実現した。

お菓子とコーヒーを用意し、算数と国語のテストの採点を行う。ジャズを流しコーヒーを飲みながら児童たちのテストを採点していく。少し太めの赤ペンで容赦無く採点をしていく。85点、70点、60点、95点、100点。自分の採点にゾクゾクする。そしてついに、その日一番の快感が訪れた。「惜しい!!」僕はテスト用紙に恐る恐る書き込んだ。ゾクゾクゾクゾク。これだ。これこそが僕のやりたかったことだったのだ。採点の横にチラリ添えられた「惜しい」の文言。これは僕が書いたのだ。一度惜しいと添えた僕の手はもはや誰にも止められない。「逆!」「ここは突き出ない。」「よくできました!」そして僕の心は真の教師になった。もうなんていうか誰でもいいから教育したい。学力を伸ばし、心の幹の部分を太くしてあげたい。人という字を道徳で説明したいし、体育で「そこ土いじるな!!」と言いたい。

先生から聞いた英語の授業のエピソードがあるので、最後に書き記しておく。最近では小学校でも英語の授業がある。その英語の授業でのお話だ。日本語の授業のはじめに欠かせない「起立!気をつけ!礼!」という部分がある。物事の始まりと終わりにきちんと区切りをつける日本の美しい慣習だ。その美しい慣習部分をどうやら英語でぶちかますらしい。

「Stand up! Bow!!!!」(ステンドアップ!ボウ!!!!)

これを聞いて僕は本当に天才かよと思った。ステンドアップ!ボウ!!!!リズムと言葉選びが完璧だと思う。この言葉はしばらく頭の中から離れそうにない。「ますもとくん!ボウが浅いよ!ちゃんとボウしなさい!」なんて言われてみたいものだ。

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