初めて高校柔道をみたら胸が熱くなった

武道館に併設されたジムで本年初ワークアウト。たまたま高校柔道の大会が行われていた。柔道といえば僕の中ではIKKOさんだ。背負い投げ〜という文言が頭の中で鳴り響く。胸筋を豊かにするためにベンチプレスに取り組む。30分以内にプロテインを摂取しなければいけない。これによって筋肉は大きくなる。

将来的に僕はラブアゲインに出てくるライアン・ゴズリングくらいの身体になりたい。それにしたってあの映画は面白かった。ゴズリング演じるジェイコブが女の子の鼻をつまんで「鼻の矯正♩」なんて意味不明な言葉を言う名シーンがあるんだけど、普通の男があれをやると完全にアウトだ。というか日本男児の僕がやろうものならば、お前が矯正しろと言われてしまうに違いない。

ジムの休憩がてら柔道の県大会を観る。ちょうど始まるところだった。全体をパッと見渡して孫君が一番強そうだなと思った。孫といえば悟空か正義という日本国民の共通認識(コモンセンス)があると思う。戦闘力で見ても経済力で見ても、孫はズバ抜けがちということだ。よく見れば織田も徳川も真田もいて、さながら戦国時代だなと思った。田中や山田といった名字の学生たちはやはり瞬殺されていく。そんな中で中村だけは気を吐いていて感心した。

柔道のルールは全くわからないが、見ていて面白い点がいくつもあった。ただし寝技は全く面白くない。坊主が抱き合っているようにしか見えない。実にホモホモしている。僕は中学・高校の頃の体育で練習させられる寝技が大嫌いだった。寝技をかけられる際に僕は一切抵抗せず、ただただ虚空を見つめていたのを覚えている。寝技も反対だが、投げ技ばかり繰り出そうとする学生はどこかチャラチャラしているように見えてしまった。もう少しだったのにというシーンで、チームメイトたちが「ヨイショー」と叫ぶのが日本的で感動した。

高校生の大会といえば応援の旗だ。だいたい心技体とか、臥薪嘗胆とか3文字〜4文字くらいのそんな漢字が書いてある。そんな中で「克己」という旗がある。僕はこれまで意味が分からず、とりあえず高橋カツミのカツミだと思っていたんだけど、調べると「こっき」と読むらしい。克己(こっき)は儒教における禁欲主義の言葉で、己の欲望や邪念に打ち勝つということを意味している。現代においてこの言葉はオナ禁と言って全く問題ない。あんまり我慢しなくていいのではないかと思うけど、どうなんだろう。

高校柔道の応援では保護者たちから色々な応援を聞くことが出来るが、分類すれば3パターンしかない。「行け」「負けるな」「決めろ」だ。だいたい競馬と同じだと思う。それにしても年末の有馬記念は感動した。選手の近くでやたらと指示をだす司令官のような者たちが柔道にはいる。行儀よく座っていて、スーツをきている。司令官たちの指令は面白い。一番面白かったのは「あゆみ!声を出して下がらせろ!!」というものだった。僕はポケモンのわざかよって思ってしまった。敗れて泣いて崩れ落ちるあゆみを見て、僕も思わず泣いてしまった。僕がトレーナーならもっとうまくやれたはずだ。

満足して、更衣室で着替えていると生徒と先生が入ってきた。急に怒鳴る先生。

「食事休憩中にコンビニで買い食いなんて何を考えているんだ!!!!ふざけるな!!」

「はい!!すみませんでした!!」

「お前はちっと反省しろ!!」

どうやらコンビニで買い物をしてその商品を食べたという理由で怒られているらしい。タバコでも吸っていたのかと思ったら、理不尽すぎる理由だった。もしかして克己(オナ禁)を掲げている高校かもしれないね。コンビニに行って商品を購入するのは合法なはずなんだけどあまりに厳しすぎる。詳しく聞いてみてもコンビニなどで保存料が多く添加された食べ物を食べるなとかそういう愛のあるオーガニックな叱り方ではなかった。僕は最近好きになったBISHのマイランドスケープのサビの部分を出来る限りの音量で流して、生徒を援護してやった。

すぐ出る杭、打たれないように撃ち返せたらいいのにな~ -BiSH my landscape

もしかしたらこの歌詞先生に刺さったかもしれない。「そんなこと言う人には背負い投げ〜」なんてIKKO風の反論もできないだろうし、生徒は大会へのモチベーションと先生への敬意を失ってしまったことだろう。育てたいならば、決して叱ってはいけないよ。

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