iphoneのない生活を始めてから、36時間が過ぎようとしている。
急に圏外になる病気を発症した為、僕はiphoneを買い換えようとしていた。調べてみるとiphone7は自動車でいうところのリコール商品である可能性が高いらしい。りんご社は問題のある3年以内のiphone7ならば無償で交換する気前のいいサービスを展開している。りんごストアに直接行くのが面倒だった為郵送を選択、約1週間のスマホ無し生活を謳歌することにした。
僕が初めてスマホを持ったのは、定かではないけれど高一か高二かはたまた高三の頃だったように思う。電磁コミュニケーションは主流だったメール方式からチャット方式へと変わった。写真や動画はなんでもリアルタイムに送ることができる。既読なんてシステムも搭載され、以前よりも返信を強要されているように感じるようになってしまった。相手が読んだかどうかも分からない受信を待つあの時間が素晴らしいのに。
このチャットを使って自分の進路を大きく変更をした高校生の話をしたい。直接は会ったことがないが、我が高校の後輩にあたる。彼は当時高校生だった。彼はSNSのラインを利用して、意中の後輩女子に自分のイチモツの動画を送りつけたという。名前を囁くというオプション付きだ。通常であればお金のかかるやりとりだ。以後彼のことはモツくんと記載する。
後輩女子はそれらの動画をたくさんの友達に見せて楽しんだ。これは一種のエンターテインメントといっても差し支えないだろう。サルは群れの中で「自分はオスとして優れているんだぞ」と伝えるためにトランスフォームした性器を誇示する。そう考えると、モツくんの行ったのは生物学的に理にかなった行為なのではないかと思えてくる。デジタル機器を使った生殖器の誇示は前衛的でセンセーショナルだ。高いエンターテインメント性と、強い雄々しさを持っている。
頭の固い学校はモツくんの行動を問題視し、最終的に彼は転校をすることになった。本来であれば彼こそ生徒会長にするべき人材であったのにだ。かくしてお堅い組織は優秀な人間に気づかない。そして転校先の高校ではモツくんはスクールカーストの頂点に近い所に位置していたという。特殊な理由で転校した人間が人気者になることは通常かなり難しい。やはりモツくんは学校という群れの中で男性的に優れていたということなんだろう。